2026年の日本、まだ現金は必要?
日本は長く「現金の国」と言われてきましたが、状況は大きく変わりました。経済産業省によると、2025年のキャッシュレス決済比率は約58%で、その8割以上がクレジットカードです。ホテル、百貨店、チェーンの飲食店、コンビニ、大都市のタクシー、駅など、多くの場所でカード(主にタッチ決済)が使えます。
それでも、現金が欠かせない場面は残っています。
- 小さなラーメン店、うどん店、お好み焼き店:入口の券売機が現金のみということもよくあります。
- 寺社:拝観料、お守り、御朱印、お賽銭
- 市場、屋台、祭り
- 地方、離島、小さな町:家族経営の宿、路線バス、喫茶店
- 古いコインロッカーや一部の機械
海外からのお客様には、1人10,000〜20,000円程度の現金を持ち、必要に応じて引き出すよう案内しています。日本のATMは海外発行カードに対応しており、出発前に自国で不利なレートで両替するより有利なことが一般的です。
また、日本では会計時にお金をキャッシュトレイに置く習慣があります。紙幣は手渡しせずトレイに置くよう伝えておくとスムーズです。1円から500円まで硬貨がすぐにたまるので、小銭入れもあると便利です。

日本での現金の引き出し:セブン銀行・ゆうちょ銀行ATMと手数料
日本のATMがすべて海外発行カードに対応しているわけではなく、特に大手銀行のATMでは使えないことがよくあります。確実なのは次の3つです。
- セブン銀行(セブン-イレブン店内):全国27,000台以上、多くが24時間稼働で、英語・フランス語表示にも対応。まず案内したい選択肢です。
- ゆうちょ銀行(郵便局、一部の駅):郵便局はどこにでもあるため、地方で便利です。稼働時間は局の営業時間に合わせていることが多く、夜間や日曜は使えない場合があります。
- ローソン銀行、イーネット(ファミリーマートなど):多くがVisa・Mastercardに対応しています。
ATMの手数料は、金額やカードのブランドにより1回110〜220円程度が一般的で、これにカード発行銀行の手数料(定額手数料と為替手数料)が加わります。1万円を3回引き出すより、3万〜5万円を1回で引き出す方が割安です。セブン銀行の1回あたりの上限は多くの場合10万円ですが、まずは利用者自身のカードの限度額が適用されます。
注意したいのが「外貨建て決済(DCC)」です。画面に「ユーロで確定レートで引き落とし」と表示されることがありますが、断って円建てを選ぶよう案内しましょう。ATMのレートは、ほぼ確実にカード発行銀行のレートより3〜7%ほど不利です。店頭のカード端末でも同様です。
海外手数料無料のカードを使えば、2週間で数十ユーロの節約になります。出発前に銀行へ渡航を伝え、限度額を確認し、異なるブランドのカードを2枚、別々に持つのが基本です。

Suica・PASMO・ICOCA・Welcome Suica:どのICカードを選ぶ?
交通系ICカードは非接触型のプリペイドカードです。改札にタッチすれば運賃が自動で引き落とされ、バス、コンビニ、自動販売機、多くのコインロッカー、一部のタクシーでも使えます。
Suica(JR東日本)、PASMO(東京の地下鉄・私鉄)、ICOCA(JR西日本)などの主要なICカードは全国で相互利用でき、東京で買ったSuicaが京都、大阪、福岡、名古屋でも使えます。対象外は一部の地方路線に限られます。
2026年時点の選択肢は次のとおりです。
- Welcome Suica:訪日客向けのカードで、成田・羽田空港やJR東日本の主要駅で販売。デポジット不要ですが、有効期間は28日で残額の払い戻しはできません。短期旅行に最適です。
- 通常のSuica・PASMO・ICOCA:デポジット500円。発行会社の窓口で残額(手数料を差し引いた額)とともに返却されます。最後の利用から10年間有効なので、再訪予定の方に便利です。
- iPhoneのSuica(Apple Wallet):ウォレットアプリから数秒で発行でき、デポジット不要。クレジットカードでチャージできます。iPhoneユーザーには最も便利な方法です。
- Welcome Suica Mobile:JR東日本のiPhone向けアプリ。有効期間は180日で、グリーン券の購入やJR東日本の一部列車の予約もできます。
AndroidのモバイルSuicaは、実質的に日本国内で販売された端末でしか使えないため、カード型が現実的です。
利用時のルールは3つ。残高の上限は20,000円、券売機でのチャージは現金のみ(クレジットカードでのチャージはモバイル版のみ)、そして新幹線はICカードだけでは乗れません(スマートEXやJR東日本の予約と紐づけた場合を除く)。

クレジットカード、スマホ決済、チップ
クレジットカード:カードが使える店であれば、VisaとMastercardはほぼどこでも使えます。日本のブランドであるJCBはもちろん、American Expressもやや限られますが利用可能です。タッチ決済が一般的になりましたが、カードを差し込んで暗証番号を入力する端末もまだあります。大都市のタクシーではカードが問題なく使えますが、地方では乗車前に確認すると安心です。
スマホ決済:Apple PayやGoogle Payは、Visa・Mastercardのタッチ決済対応端末で使えます。日本ではPayPay、楽天ペイ、d払いなどのQRコード決済も広く使われていますが、主に国内居住者向けのサービスで、ヨーロッパからの旅行者には必要ありません。
チップ:答えはシンプルで、渡しません。レストランでもタクシーでもホテルでも、サービスは料金に含まれていると考えられています。テーブルにお金を置いて帰ると、店員が走って届けに来ることもあります。高級ホテルや一部のレストランでは、10〜15%のサービス料が加算されています。
例外として受け入れられているのは、数日間同行したプライベートガイドやドライバー、旅館のスタッフへの心付けです。その場合も紙幣をそのまま渡すのではなく、コンビニや文房具店で買えるポチ袋に入れ、お礼の言葉を添えてさりげなく渡すよう案内しましょう。
消費税:税率は10%(持ち帰りの飲食料品は8%)。価格は原則として税込表示ですが、税込・税抜の両方を記載した値札や、小さく「税抜」と書かれた表示も見られます。
免税制度:2026年11月1日からの新ルール
日本では、国外に持ち出す商品について、外国人旅行者に10%の消費税を免除しています。2026年11月1日から、その仕組みが大きく変わりました。
これまで(2026年10月31日まで):免税店のレジでパスポートを提示し、その場で税抜価格を支払っていました。
現在(2026年11月1日から):リファンド(払い戻し)方式です。
- 店頭では税込価格で支払い、パスポートを提示します。購入記録は電子的に送信されます。
- 出国時には、航空会社のチェックイン前に空港の専用端末で手続きし、税関で購入品の持ち出し確認を受けます。
- 払い戻しは、その後、店舗または代行事業者からクレジットカード、電子マネー、場合によっては現金で行われます。
主な条件は、「短期滞在」の在留資格であること、同じ店で同じ日に税抜5,000円以上購入すること、購入から90日以内(従来は30日)に税関の確認を受けることです。一般物品と消耗品(化粧品、食品、酒類)の区分、消耗品の特殊包装、消耗品の購入上限はなくなりました。一方で、日本国内で消費したものは払い戻しの対象外です。
実務上は、税関で提示を求められることがあるため、免税品は空港で開けやすいバッグに入れておくこと、確認手続きのため早めに空港に着くこと、そして店舗の条件を確認せずに宅配便で送るスーツケースに入れないことを案内しましょう。

団体旅行のお金と支払い:日当、請求書、ICカード
セミナーや企業旅行では、「現金かカードか」ではなく、「誰が何を払い、どう証憑を残すか」が課題になります。
- 主要な費用は事前精算:ホテル、団体での食事、バス、ガイド、アクティビティは請求書で事前に支払います。日本の飲食店では40枚のカードでの個別会計は難しく、事前精算の請求書1枚でレジ前の30分の待ち時間を省けます。
- 自由食の日当:2026年の相場では、昼食3,000〜5,000円、夕食6,000〜10,000円が現実的です。到着時に記名の封筒で現金を渡す方法と、各自のカードで支払って経費精算する方法があります。
- 領収書:会社名宛ての領収書を受け取るよう伝えます。登録番号(T番号)のある適格請求書なら、日本法人での仕入税額控除もスムーズです。
- 全員にICカード:到着時にチャージ済みのカードを配れば、券売機できっぷを買う手間が省けます。JR東日本の「Welcome Suica(長期利用)」は有効期間180日で、まとめ買い専用、1,000〜10,000円のチャージ額を選べるため、団体に最適です。
- 為替:予算は円建てで組み、為替変動に備えて余裕を持たせます。
SHINOGI DMCでは、こうした事前精算、経費の管理、ICカードや封筒の準備を担当し、セミナー中に誰もATMの前で小銭を数えずに済むよう団体をサポートしています。
よくあるご質問
日本にはどのくらい現金を持って行くべき?
到着時に1人10,000〜20,000円程度を用意し、あとはセブン-イレブンや郵便局のATMで必要に応じて引き出すのがおすすめです。ホテル、百貨店、多くの飲食店ではカードが使えます。
海外発行カードが使えるATMは?
セブン-イレブンのセブン銀行ATM、郵便局のゆうちょ銀行ATM、ローソン銀行やイーネットのATMの多くが対応しています。大手銀行のATMでは使えないことがよくあります。
Welcome Suicaと通常のSuica、どちらを選ぶ?
Welcome Suicaはデポジット不要ですが28日で失効し、残額は払い戻せません。通常のSuicaはデポジット500円(返却可)で10年間有効です。iPhoneならApple WalletのSuicaが最も便利です。
日本のレストランでチップは必要?
不要です。チップの習慣はなく、かえって気まずくさせることもあります。ガイドや旅館のスタッフにお礼をしたい場合は、ポチ袋に入れてさりげなく渡します。
2026年11月からの免税手続きはどうなった?
店頭では税込で支払い(税抜5,000円以上)、購入から90日以内に出国時の空港で、チェックイン前に税関の確認を受けます。その後、カードや電子マネーに払い戻されます。
団体旅行の日当の目安は?
2026年の目安は、自由昼食3,000〜5,000円、自由夕食6,000〜10,000円。記名の封筒で現金を渡すか、経費精算で対応します。
Rédaction SHINOGI DMC · 更新日
出典
- METI — Cashless payment ratio for 2025 (press release, March 31, 2026)
- Seven Bank — Using overseas-issued cards at Seven Bank ATMs (FAQ)
- JR East — Welcome Suica
- JR East — Welcome Suica Mobile
- JR East — Welcome Suica (for extended use)
- Japan Tourism Agency — Tax-free shopping, refund method from November 1, 2026
- JNTO — Changes are coming to Japan's tax-free shopping
- National Tax Agency — Consumption tax
- JNTO — Préparer son voyage au Japon








