日本の治安は良いのか
はい。統計上も実感としても安全です。殺人発生率は人口10万人あたり約0.2件と世界最低水準で、深夜の東京を1人で歩いても不安は少なく、カフェで席取りにかばんを置くのも日常的な光景です。落とした財布が現金ごと交番に届くことも珍しくありません。
ただしリスクがゼロというわけではありません。訪日客が実際に遭遇しやすいのは次のようなトラブルです。
- 客引き:新宿・歌舞伎町や六本木などの繁華街では、安い飲み代をうたって店に誘い、数十万円を請求する被害があります。飲み物に薬物を混入された事例を注意喚起している大使館もあります。路上で声をかけてくる客引きにはついて行かないことが鉄則です。
- 置き引き・スリ:まれですが、混雑した電車や観光地ではゼロではありません。
- 痴漢:ラッシュ時の電車で発生するため、路線によっては女性専用車両があり、ホームに表示されています。
- 自転車や電動キックボードの事故:左側通行などのルールに不慣れな訪日客に多く見られます。
また、外国人旅行者は旅券を常に携帯する義務があり、警察官に提示を求められることがあります。ホテルでもチェックイン時に旅券の写しが取られます。
結局のところ、日本での安全対策の中心は犯罪ではなく自然災害であり、それには少しの準備が必要です。

日本の地震リスクをどう考えるか
日本は4つのプレートが接する位置にあり、政府によると世界のマグニチュード6以上の地震の約2割が日本周辺で発生しています。旅行者が感じる揺れの多くは小さなもので、数秒揺れて照明が揺れる程度で日常に戻ります。
地元の情報を理解するには、ある地点での揺れの強さを表す「震度」(地震の規模を表すマグニチュードとは別)を知っておくと便利です。
- 震度1〜3:屋内にいる人が揺れを感じる程度で、被害はありません。
- 震度4:物が揺れ、多くの人が驚きます。点検のため列車が止まることがあります。
- 震度5弱〜5強:物が落ち、固定していない家具が動き、交通が乱れます。
- 震度6弱〜7:立っていることが困難になり、古い建物に大きな被害が出ます。
1981年の新耐震基準以降に建てられた建物、とりわけ近年のホテルは、強い揺れにも耐えるよう設計されています。高層ビルが揺れるのは設計どおりです。
特に警戒されているのは首都直下地震と南海トラフ地震です。2024年8月には、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発表されました。滞在中にこうした情報が出ても交通機関は通常運行することが多く、地元の指示に従い、ホテルの避難経路を確認し、海岸には近づかないようにします。

地震が起きたときの行動
取るべき行動はシンプルで、日本では小学校から繰り返し訓練されています。
揺れている間(屋内):
- 丈夫な机の下で頭を守る。机がなければ窓や背の高い家具から離れ、内壁のそばで身をかがめる。
- 慌てて外に飛び出さない。建物の倒壊よりも、落下するガラスや看板、瓦によるけがの方が多いのです。
- エレベーターでは全階のボタンを押し、最初に止まった階で降りる。新しいエレベーターは最寄り階で自動停止します。
- ホテルでは揺れが収まるまで客室にとどまり、その後は館内放送や従業員の指示に従う。
屋外: ガラス張りの建物、自動販売機、ブロック塀から離れ、公園や広場など開けた場所へ。
列車内: 新幹線は初期微動を検知すると自動的に減速・停止します。座席にとどまって指示を待ちます。線路点検のため数分から数時間止まることがあります。
海岸の近く: 強い揺れや長い揺れを感じたとき、または津波警報が出たら、波を確認しようとせず、ただちに徒歩で高台へ避難します。津波避難ビルは緑と白のピクトグラムで示されています。
揺れが収まったら: 余震に注意し、ガラス片に備えて靴を履いたままにし、警報を確認して不要な通話を控えます。安否連絡には、通話よりもメッセージや災害用伝言ダイヤル(171)・災害用伝言板が有効です。
地震・津波の情報を受け取る:Safety tipsなどのツール
日本には緊急地震速報の仕組みがあり、初期微動を検知すると気象庁が速報を出し、震源からの距離に応じて強い揺れの数秒〜数十秒前に知らせます。テレビ、駅、携帯電話に独特の警報音とともに配信されます。
訪日客に出発前のインストールをすすめたいのが、観光庁の無料アプリ「Safety tips」です。緊急地震速報、津波警報、噴火速報、気象警報、熱中症情報を英語やフランス語を含む15言語でプッシュ通知し、行動の手引きや、見せて伝えるための会話集も備えています。通知と位置情報の許可を忘れずに。
ほかにも次の情報源があります。
- NHK WORLD-JAPAN(アプリ・ウェブ):英語など多言語で緊急情報を配信し、大規模災害時はライブで伝えます。
- 日本政府観光局(JNTO)のJapan Safe Travel:災害時に訪日客が必要とする情報をまとめています。
- ホテルや駅の案内放送:日本語に加え、英語で流れることも多くあります。
海外で購入した端末は、日本のSIMやeSIMを使っていても緊急速報を受信できない場合があります。携帯電話だけに頼らず、アプリを併用しましょう。
また、大雨や土砂災害で自治体が用いる5段階の警戒レベルも覚えておくと安心です。警戒レベル4では、対象地域の全員が避難します。
台風、大雨、猛暑:季節ごとのリスク
地震は恐れられがちですが、実際に旅行の妨げになることが多いのは季節ごとのリスクです。
台風。 シーズンは7〜10月で、ピークは8〜9月。沖縄と九州が特に影響を受けやすい地域です。台風は数日前から予報され、進路は刻々と更新されます。通過当日は航空便が欠航し、鉄道会社は前日に計画運休を発表することが多く、店舗も休業します。ホテルで1日過ごすことになりますが、それ以上になることはまれです。本当のリスクは、帰国便や乗り継ぎに間に合わないといった行程面の問題です。
大雨。 梅雨(本州では6月〜7月中旬)や夏の終わりには集中豪雨が起こり、山間部では洪水や土砂災害の危険があります。ハイキングの際は自治体の避難情報に従います。
猛暑。 最も過小評価されがちなリスクです。東京、京都、大阪では35℃を超える蒸し暑い日が珍しくありません。環境省は暑さ指数(WBGT)を公表し、2024年からは危険な暑さが予想される場合に熱中症特別警戒アラートを発表しています。のどが渇く前に水分をとり、塩分も補給し(コンビニで塩分入りの飲料や飴が買えます)、11〜15時は日陰で過ごし、帽子をかぶりましょう。
雪と火山。 冬は山岳道路や北海道便が数時間止まることがあります。また、日本には約100の活火山があり、阿蘇山や箱根・大涌谷などでは警戒レベルに応じて周辺への立ち入りが規制されることがあります。

緊急通報番号、医療、保険
出発前に携帯電話に登録しておきたい番号は次のとおりです。
- 110:警察
- 119:消防・救急。救急車は無料で、英語対応や通訳を介した対応も可能です。
- 118:海上保安庁(海での事故)
- 050-3816-2787:日本政府観光局のJapan Visitor Hotline。24時間、英語・中国語・韓国語で、急病、災害、旅行の相談に対応。
- 自国の在東京・在大阪の大使館や総領事館の番号。
フランス国籍の旅行者は、外務省の渡航者登録サービス「Ariane」に登録すると、緊急時に指示を受け取れます。
日本の医療水準は高いものの、利用には少し準備が必要です。小さな診療所は夜間や週末に休診することが多く、英語対応も確実ではありません。JNTOは外国人患者を受け入れる医療機関のリストを公開しています。訪日客は保険適用がなく全額自己負担で、無保険の外国人に通常より高い料金を設定する病院もあります。数日の入院で数千ユーロに達することも珍しくありません。
そこで、次の3点を準備しましょう。
- 治療費の補償額が高く、緊急移送を含む海外旅行保険。アシスタンスの番号はすぐ確認できるように。
- 常備薬は元の包装のまま処方箋と一緒に。欧州で一般的な薬でも、一部の覚醒剤成分や鼻炎薬など、日本では持ち込みが禁止・制限されているものがあり、1か月分を超える量には事前の手続き(輸入確認証)が必要な場合があります。
- クレジットカードと少額の現金。多くの診療所ではその場での支払いが求められます。
団体旅行の安全配慮義務と危機管理計画
企業が社員をセミナーや報奨旅行で日本に派遣する場合、出張中も企業は社員に対する安全配慮義務を負います。協会やクラブが主催する旅行でも、主催者としての責任が生じます。実務的には、出発前に簡潔な計画を文書にし、引率者全員で共有しておくことが基本です。
出発前:
- 旅券番号、電話番号、自国の緊急連絡先、保険、部屋番号、既往症などを記した参加者名簿。
- 行程のリスク評価:海や山での活動、夏の屋外活動、台風シーズンの日程。
- 7〜10月は帰国便の前に予備日を1日。
- 到着時の10分間の安全説明:緊急番号、Safety tipsアプリ、地震時の行動、ホテルの集合場所。
危機対応の体制:
- 現地責任者と本社責任者を置き、24時間連絡が取れるようにする。
- 10〜15名ごとにサブリーダーを決め、点呼を担当させる。
- ホテルごと、行程の日ごとに集合場所を決める。
- 発生から30分以内に全員の所在を確認することを目標にする。
想定しておくシナリオ: 見学中の地震、48時間前に予報された台風、熱中症、参加者の入院、帰国便の欠航。それぞれについて、誰が判断し、誰が誰に連絡し、どこに集まるかを決めておきます。
契約面でも、自然災害時の手配先のキャンセル条件、取消保険、主催者の賠償責任保険を確認しておきます。SHINOGI DMCは、こうした体制を日本での団体旅行ごとに整え、滞在中は現地チームが24時間対応しています。
よくあるご質問
地震があるので日本旅行は危険ですか。
地震は多いものの、ほとんどは小さな揺れで、1981年以降の建物は厳しい耐震基準を満たしています。正しい行動を知り、Safety tipsアプリを入れておけば、旅行者のリスクは低いといえます。
日本の緊急通報番号は?
警察は110番、消防・救急は119番(救急車は無料)。Japan Visitor Hotline(050-3816-2787)は24時間英語で対応します。
日本で警報を受け取るにはどのアプリが良いですか。
観光庁の無料アプリ「Safety tips」です。地震、津波、気象、熱中症の情報を15言語で通知します。ライブ情報はNHK WORLD-JAPANで補えます。
日本の台風シーズンはいつですか。
7〜10月で、ピークは8〜9月。沖縄と九州が特に影響を受けます。交通の乱れは通常1日程度なので、帰国便の前に予備日を設けましょう。
日本旅行に保険加入は必須ですか。
入国時の条件ではありませんが、強く推奨されます。訪日客の医療費は全額自己負担で、医療搬送には数万ユーロかかります。
企業が団体の安全のために準備すべきことは?
最新の名簿、行程のリスク評価、到着時の安全説明、サブリーダー、集合場所、24時間の連絡先、地震・台風・猛暑・入院などのシナリオ、適切な保険です。
Rédaction SHINOGI DMC · 更新日
出典
- JNTO — Staying safe in Japan (Safety tips app, earthquake early warnings)
- JNTO — Japan Visitor Hotline
- Japan Meteorological Agency — Earthquake Early Warnings
- Japan Meteorological Agency — Nankai Trough Earthquake Extra Information
- Cabinet Office — Disaster Management in Japan
- Ministry of the Environment — Heatstroke prevention information (WBGT)
- Ministry of Health, Labour and Welfare — Bringing medicines for personal use into Japan
- France Diplomatie — Ariane
- France Diplomatie — Conseils aux voyageurs, Japon
- JNTO — Guide for when you are feeling ill (medical institutions for visitors)







