旅館とは?どんな宿を選ぶか
旅館は、畳の客室、布団、館内での食事、そして多くの場合温泉を備えた日本の伝統的な宿です。寝るためだけの場所ではなく、午後のチェックインから翌朝の出発までがひとつの体験であり、海外からの旅行者の多くが旅のハイライトに挙げます。
主な種類:
- 温泉旅館:箱根、城崎、草津、由布院などの温泉地にある最も一般的なタイプ。大浴場に加え、貸切風呂や露天風呂付き客室があることも。
- 都市型旅館:京都や東京に多く、小規模で温泉がない場合もありますが、料理に力を入れています。
- 高級旅館:強羅花壇や京都の老舗など、各客室に庭や風呂があり、ほぼマンツーマンのもてなし。
- 民宿:家族経営の簡素な宿。食事は食堂で、風呂やトイレは共用が多く、1泊2食で8,000〜15,000円程度。予算を抑えた初体験に。
- 改装した町家や、畳とベッドを組み合わせたモダンな旅館。
選ぶ際に本当に大事なポイント:
- 風呂:天然温泉か、大浴場のみか貸切風呂があるか、客室露天風呂があるか。
- 食事:部屋食、個室、レストランのいずれか。
- 寝具:布団かベッドか(畳に低いベッドを置いた和洋室も増えています)。
- バリアフリー:エレベーターのない階段、古い建物の共用トイレ。
- 言語:大規模な宿には英語対応スタッフがいますが、小さな宿では限られます。
1泊でも十分ですが、2泊すれば荷造りに追われずに宿でゆっくり過ごせます。
旅館での過ごし方:時間の流れ
旅館には決まった時間の流れがあります。知っておけば、夕食を逃したり、16時に誰もいないロビーで途方に暮れたりせずに済みます。海外ゲストにはこの流れを事前に伝えておくと安心です。
- 15〜17時:到着 チェックインは通常15時から(14時や16時の宿も)。早めに着けば荷物を預けられます。玄関で靴を脱いでスリッパに履き替え、滞在中のお世話をする仲居さんに客室へ案内されることも。座卓にはお茶とお茶菓子。このときに夕食と朝食の時間を決めます。
- 浴衣 押し入れや棚に浴衣、帯、冬は羽織や丹前があります。館内、温泉、夕食、温泉街の散策まで浴衣で過ごせます。着方は右前(右側を先に体に当て、左の衿を上に重ねる)で、逆は死装束になるため注意が必要です。
- 17〜18時:入浴 夕食前が温泉に最適な時間。浴衣姿でタオルを持って大浴場へ。
- 18〜20時:会席料理 部屋食、個室、食事処のいずれかで、決めた時刻に始まります。遅れると厨房の段取りが崩れるため、遅れる場合は必ず連絡を。
- 夕食中:布団敷き 部屋食の場合は食後に係が座卓を片付けて布団を敷きます。食事処の場合は部屋に戻ると布団が敷かれています。
- 夜 2度目の入浴、浴衣と下駄での温泉街散策、ラウンジでの一杯など。
- 7〜9時:朝食 決めた時刻に。
- 10〜11時:出発 浴衣は部屋に残し、飲み物や貸切風呂などの追加料金をフロントで精算します。
旅館は好きな時間に出入りするホテルとは違い、23時頃に門限がある宿もあります。午後から夜を宿で過ごすのが前提で、深夜の到着は想定されていません。

会席料理:内容と楽しみ方
夕食は滞在の中心であり、料金の大部分を占めます。会席料理は小さな料理を一品ずつ供し、季節を色濃く映します。春は筍や春の魚、夏は鰻や夏野菜、秋は松茸や栗、冬は蟹やふぐ。所要は1時間30分〜2時間、品数は8〜12品が一般的です。基本的な流れ:
- 先付:最初の一品。
- 八寸:季節のテーマを表す酒肴の盛り合わせ。
- 椀物:澄まし汁。最も繊細な一品とされます。
- お造り:刺身。
- 焼物:魚や肉の焼き物。
- 煮物。
- 地域ごとの温かい料理:小鍋、和牛の石焼き、天ぷらなど。
- ご飯・止椀・香の物:ご飯、味噌汁、漬物で締めくくり。
- 水物:果物や甘味。
難しい作法はありません。料理は出されたら順に食べ、わからなければ尋ね、苦手なものは残しても構いません。箸は箸置きに置き、ご飯に突き立てないこと。海外ゲストにはこの程度を伝えれば十分です。
飲み物は別料金で、ビール、地酒、ワインなどをチェックアウト時に精算します。
重要なのは、食事制限は予約時に伝えること。会席料理は朝から一人ずつ準備されるため、当日の変更は困難です。甲殻類、そば、ナッツなどのアレルギーは事前に伝えればきちんと対応されます。ベジタリアン対応は意外に難しく、だしに鰹節を使うためで、依頼すれば精進料理風の献立を用意する旅館もあれば、対応できない宿もあります。ハラールやコーシャには専門の対応施設が必要です。

布団、夜、そして和朝食
布団は畳の上に直接敷きます。数センチの敷布団、掛け布団、そして硬めで少し音のするそば殻枕が一般的です。良い旅館では敷布団が厚く、寝心地も十分です。床で寝るのが苦手なゲストには:
- フロントに敷布団の追加を頼む(よくある依頼です)。
- 畳に低いベッドを置いた和洋室を予約する。
- そば殻枕が合わなければ通常の枕を頼む。
古い旅館は壁が薄く、襖や障子で仕切られていることもあるため、22時以降は静かに。客室には冷暖房があります。トイレは別室で専用のスリッパがあり、出るときはその場に脱いで、客室に履いたまま戻らないよう伝えておきましょう。
朝食は前夜に決めた時刻に、食事処や個室でいただく本格的な食事です。
- 白いご飯と味噌汁。
- 焼き魚(鮭、鯖、干物など)。
- 玉子焼きや、湯でじっくり加熱した温泉卵。
- 豆腐、煮物、海苔、漬物。
- 湯豆腐や干物を自分で温める小さなコンロが付くことも。
- 納豆は一度は試してもらいたい一品。
洋朝食(卵料理、パン、サラダ)を用意する旅館もあり、到着時に申し出ます。コーヒーは出ないこともあり、多くは緑茶、ラウンジにコーヒーマシンがある程度です。
朝食後も出発前にもう一度入浴できる時間があるのが普通で、多くの浴場は5時か6時から利用できます。

旅館の料金と予約のしかた
旅館の料金は部屋単位ではなく1人あたりで、通常は1泊2食付きです。2名1室なら表示料金の2倍になります。2026年の目安:
- 民宿・小規模でシンプルな旅館:1人8,000〜15,000円。
- 中価格帯の温泉旅館(会席料理付き):1人15,000〜30,000円。
- 客室風呂付きの高級旅館:40,000〜80,000円。
- 京都、箱根、伊豆などの名旅館:1人100,000円以上。
料金が変わる要因:
- 曜日:土曜と祝前日は20〜50%高くなります。
- 人数:2名用の部屋を1名で使うと1人あたりの料金が大きく上がり、一人客を受け付けない宿もあります。
- 献立:会席のグレードが複数あり、蟹、和牛、ふぐのプランは高額に。
- 客室:眺望、客室風呂、テラスの露天風呂。
- 税:入湯税(多くは1人1泊150円)と、自治体によっては宿泊料金に応じた宿泊税。
チップは不要です。伝統的な宿では仲居さんに心付けを封筒で渡す人もいますが義務ではなく、近年は丁寧に辞退する旅館も多くあります。海外ゲストには「不要」と伝えて構いません。
予約は旅館の公式サイトか、選択肢と詳細なプランが豊富なじゃらんや楽天トラベルで。夕食の有無(素泊まりは食事なし)、夕食に間に合う最終チェックイン時刻、風呂の種類をよく確認します。京都や箱根の人気旅館は、桜と紅葉の時期には3〜6か月前の予約が必要です。
旅館のマナー:知っておきたいルール
旅館のスタッフは外国人客に慣れており、多少の不慣れは大目に見てくれます。それでも、気まずい場面を避けるためにゲストへ伝えておきたいルールがあります。
- 靴:玄関で脱ぎます。出発時にはスタッフが揃えておいてくれることも。
- スリッパ:廊下では履き、畳に上がる前に脱ぎます。畳の上は靴下か素足で。
- トイレのスリッパ:トイレの中だけで使います。
- スーツケース:畳の上で転がさず、持ち上げて板の間や所定の場所に置きます。
- 床の間:掛け軸や花を飾った、部屋で最も格の高い場所。荷物や服を置いたり座ったりしないように。
- 浴衣:右前(左の衿が上)。帯は男性は腰、女性はやや高めに。多くの旅館では朝食も浴衣で構いませんが、格式の高い宿では確認を。
- 時間厳守:決めた夕食時間を守り、到着が遅れる場合は連絡を。連絡なしに18時以降に着くと夕食が用意できないこともあります。
- 音:仕切りが薄いため、夜は小声で。
- 出発時:布団はたたまなくて構いません(スタッフが片付けます)が、部屋を整え、浴衣は布団の上や所定のかごに。
浴衣の着付けを手伝ってもらう、枕を追加で頼む、朝食時間を変える、料理について尋ねる、といったことは遠慮なくどうぞ。もてなしも体験の一部で、スタッフは喜んで説明してくれます。
団体での旅館利用:宴会、部屋割り、貸切
研修旅行やインセンティブ旅行で旅館に泊まると、ホテルにはない体験が生まれます。全員が浴衣姿で並んで座る夕食と、自然とペースが落ちる時間の流れです。ただし手配の考え方はホテルと異なります。
- 部屋割り:和室は2〜5名用で料金は1人単位。個室に慣れた参加者が多いと費用がすぐに膨らみます。対策は、気心の知れた同僚の2名1室、役員のみ1名1室、または小さめの和洋室がある旅館を選ぶことです。
- 夕食:大型旅館には20〜200名収容の宴会場があり、座布団の畳敷きか座椅子で、全員に同時に会席料理を出せます。余興、スピーチ、飲み放題、和太鼓や芸妓の舞台も可能です。正座が苦手な海外ゲストには椅子席(背もたれ付き座椅子や高いテーブル)を依頼します。
- 貸切:10〜20室規模の旅館なら一棟貸切ができ、温泉、ラウンジ、庭を団体だけで使えます。役員会には最も印象に残る選択肢です。
- 食事制限:参加申込書でアレルギーや食事制限を集め、遅くとも2週間前に旅館へ伝えます。ベジタリアン向けの代替献立も用意します。
- 入浴:大浴場を避けたい方やタトゥーのある方のために貸切風呂を確保します。
- 荷物:大きなスーツケースは宅配便で次のホテルへ送り、一泊分の荷物だけを持参。旅館の廊下や客室は40個のスーツケースを想定していません。
- 時間:15〜16時着、入浴、18時30分に夕食。バスは定刻に出発する必要があります。
5〜7日間の行程なら、箱根、京都、伊豆、由布院などで旅館1泊を組み込むのがおすすめです。SHINOGI DMCでは団体に適した旅館の選定から、部屋割り、献立、貸切まで手配しています。

よくあるご質問
旅館1泊の料金はいくら?
1泊2食付き・1人あたりで、民宿は約8,000〜15,000円、中価格帯は15,000〜30,000円、高級旅館は40,000円以上が目安です。土曜は高くなります。
旅館には何時に着けばいい?
夕食前に温泉を楽しめるよう15〜17時の到着が理想です。夕食は通常18〜19時30分。遅れる場合は必ず連絡しないと夕食が用意できないことがあります。
浴衣の正しい着方は?
右側を先に体に当て、左の衿を上に重ねる「右前」で着て、帯を腰で結びます。逆は死装束です。館内や温泉街はどこでも浴衣で歩けます。
旅館でベジタリアン対応はできる?
予約時に依頼すれば対応できる旅館は多いですが、だしに魚を使い、会席料理は事前に準備されるため当日の変更は困難です。対応できない宿もあるので予約前に確認を。
旅館でチップは必要?
不要です。伝統的な宿では仲居さんへの心付けを封筒で渡すこともありますが、義務ではありません。
旅館は企業の団体を受け入れられる?
はい。大型旅館には20〜200名の宴会場や会議室があり、10〜20室の小規模旅館なら貸切も可能です。和室は2名以上の相部屋が基本です。
Rédaction SHINOGI DMC · 更新日









