日本人への贈り物は何がよい?結論から
海外から日本の取引先に贈るなら、自分の地元の質のよい品を、きれいに包装し、分けやすい形で渡すのが一番です。個包装の菓子、地元の職人のチョコレート、役員向けのワインや蒸留酒、地元の工房の品などです。予算は担当者1人あたり3,000〜10,000円、社長クラスならそれ以上。両手で、最初の挨拶よりも面談の終わりに渡すのが自然です。
日本では贈り物は特別な行為ではなく、関係を続けるうえでの当たり前の節目です。初訪問の手土産、おもてなしへのお礼、旅行のお土産、そして年2回のお中元・お歳暮。金額よりも気持ちと見せ方が大切で、よく選んだ地方の焼き菓子の詰め合わせのほうが、社名入りのボールペンより印象に残ります。
海外のゲストにも伝えたい3つの原則:
- 身の丈に合った金額:高すぎる贈り物はお返しの負担になり、相手を困らせます。
- 分けられること:ビジネスの贈答品は職場で分けることが多く、個包装の菓子箱は理想的です。
- 物語を添える:産地や地域、作り手について一言添えると、贈り物に意味が生まれます。準備しておきましょう。
基本的なマナーは日本の礼儀作法の記事にまとめています。本記事では、特にビジネスの場での贈り物に絞って解説します。
ビジネスの贈り物:予算の目安
公式の基準はありません。以下は一般的な慣習にもとづく目安で、相手の立場、関係の重要度、個人宛てか部署宛てかによって変わります。
- 部署・チーム向け(分けて食べるもの):2,000〜5,000円。12〜20個入りの個包装の焼き菓子やチョコレート。
- 担当者・初訪問:3,000〜5,000円。丁寧に選んだ地方の名産品。
- 長年の取引先・プロジェクト完了のお礼:5,000〜10,000円。
- 社長・役員・工場見学の受け入れ責任者:10,000〜30,000円。上質なワインやシャンパン、地元の有名な工房の品など。
それ以上になると扱いが難しくなります。日本では、いただいたらお返しをするのが習わしで、場面によって同額や半額程度が目安とされます。高価すぎる贈り物は相手に出費を強いることになり、不適切に映ることもあります。
特に注意が必要なのは次の2つです。
- 公務員:国家公務員倫理規程により、許認可や契約、検査などの相手方となる事業者からの贈与や接待は、金額にかかわらず禁止されています。省庁、県庁、公的機関の訪問では記念品程度にとどめ、事前に受け取れるかどうか確認するのが無難です。
- コンプライアンスの厳しい企業:上場企業をはじめ、贈答品の受け取りを制限・禁止する企業が増えています。担当者や訪問の窓口に事前に確認するのが確実です。
海外から何を持っていく?(日本の税関で持ち込めないもの)
喜ばれるのは、贈る側の地元の品で、日本では手に入りにくいものです。海外ゲストへの定番の提案:
- 個包装の地方菓子:ビスケット、キャラメル、ヌガー、フルーツゼリーなど。日本の手土産の形そのものです。
- 地元のショコラティエのチョコレート:落ち着いた箱入りで。7〜8月の暑さはスーツケースの中にも及ぶので夏は避けます。
- ワイン、シャンパン、蒸留酒:お酒好きの役員向け。日本では飲まない、あまり飲まない人も多いので、さりげなく確認を。
- 地元の工房の品:陶磁器、ガラス器、カトラリー、リネン、上質な文具など。
- 写真集:自分の街や地方を紹介するもの。英語版があれば理想的です。
- 自社製品:それ自体が魅力的な場合に限ります。ロゴ入りのノベルティ(ネックストラップ、USBメモリ)は贈り物になりません。
日本の税関では、成人1人あたり酒類3本(1本約760ml)、香水2オンス(約56ml)、その他の品物は海外市価の合計20万円まで免税です。1個1万円以下の品物はこの合計に含まれません。10名の訪問団なら、荷物に分ければ30本まで持ち込めます。
意外と知られていないのが、肉製品の持ち込み禁止です。動物検疫所は、ソーセージ、ハム、パテ、干し肉などほぼすべての肉製品について、真空パックでも、免税店で買ったものでも、贈答用でも、輸出国政府の検査証明書がなければ持ち込みを認めていません。個人がこの証明書を得るのは事実上不可能です。肉製品は申告が必要で、無許可の持ち込みには3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。生の果物や植物も植物検疫の対象です。乾物、菓子、瓶入りの品を選ぶよう案内しましょう。
避けたい贈り物:数字、品物、色
外国人の小さな失敗を気にする日本人は多くありません。ただ、年配の方や伝統を重んじる相手には、根強い連想があるものは避けたほうが安心です。海外ゲストに伝えておきたいポイントです。
- 4と9:「死」「苦」を連想させます。4客セットのグラスや9個入りのチョコレートは避けます。
- 櫛:「く」と「し」を含むため。
- 白黒が基調の包装、白い菊:弔事を連想させます。色のある包装紙か、百貨店の落ち着いた包装を。
- 刃物(包丁、はさみ):「縁を切る」とされます。ビジネスではそれほど厳密ではなく、欧米の方への土産としては日本の包丁は大変人気ですが、日本の取引先へ贈るなら別の品が無難です。
- ハンカチ:地域によっては「手切れ」を連想させ、別れの贈り物とされます。
- 靴、靴下、マット:目上の方へは「踏みつける」意味になるため。
- 鉢植え(お見舞い):「根付く」が「寝付く」に通じるため。
- 香りの強い香水:日本の職場ではあまり使われません。
- 個人的すぎる品・高価すぎる品:宝飾品、高級時計、冠婚葬祭以外での現金など。
置き時計がタブーとよく言われますが、これは主に中国の習慣で、日本では問題ありません。相手が中国・台湾出身なら避けたほうがよいでしょう。
贈り物の渡し方:包装、のし、所作
見せ方も贈り物の一部です。日本の百貨店は無料で丁寧に包装してくれるため、日本で購入するのがいちばん簡単な場合も多いでしょう。海外ゲストに伝えたいポイント:
- 包装:上質な紙で、リボンは控えめに。風呂敷で包めば、それ自体も贈り物になります。海外から持参する場合は、購入店の落ち着いた包装で十分です。
- のし:箱に掛ける印刷の紙で、水引と「御礼」「御挨拶」や贈り主の名前などの表書きが入ります。外国人の訪問者には求められませんが、日本で購入する際は店員が用途を尋ね、適切なものを選んでくれます。何度あってもよいお祝いやお礼、訪問には紅白の蝶結び、結び切りは婚礼用です。
- 紙袋:渡すときは紙袋から出し、持ち帰りが必要なら袋を添えます。
- 所作:両手で、品物を相手に向け、軽く会釈しながら。「地元のささやかな品です。お口に合えば嬉しいです」程度の一言で十分です。「つまらないものですが」はやや古風な言い回しになりつつあります。
- タイミング:面談や会食の終わり、用件が済んでから。複数で会う場合は、訪問団の最上位者から相手側の最上位者へ渡します。
- 開封:その場で開けない日本人も多く、関心がないわけではないので、無理に勧める必要はありません。
いただく側になったら、両手で受け取ってお礼を言い、「開けてもいいですか」と尋ねてもかまいません。数日以内にお礼のメッセージやメールを送ると喜ばれます。

お土産、お中元、お歳暮:日本の贈答カレンダー
日本の贈答には3つの習慣があります。海外からの訪問者が従う必要はありませんが、知っておくと誤解を避けられます。
- お土産:旅先から職場や家族、お世話になった方へ持ち帰る品。訪れた地方の銘菓が中心で、8〜30個入りの個包装の箱が新幹線の駅や空港で売られています。出張帰りの会社員が職場の共有スペースに一箱置いていくのはよく見る光景です。
- お中元:百貨店の案内によれば、東日本(東京)では7月初旬〜15日頃、西日本ではそれより遅く、関西では7月中旬〜8月中旬頃に届けるのが目安です。
- お歳暮:12月上旬〜20日頃に届けるのが一般的で、年末ぎりぎりは避けます。
お中元・お歳暮は企業間でも盛んで、ビール、ハム、旬の果物、食用油、コーヒーなどが定番です。百貨店には特設会場が設けられ、全国に配送できます。日本の取引先と長く付き合う海外企業なら、日本の百貨店からお歳暮を贈るのもよい方法で、国際発送よりはるかに手軽です。
出張の心得として、予備の贈り物をいくつか用意しておくと安心です。予定外の方が会議に同席することはよくあり、その方にだけ何もないのは気まずいものです。現地での買い足しには、日本のショッピングの記事が参考になります。

団体での贈り物:セミナー、ロードショー、ウェルカムギフト
企業にとって贈り物は、まとまった数で必要になることが少なくありません。ロードショーで会う取引先、カンファレンスの登壇者、工場見学の受け入れ先、そしてインセンティブ旅行の参加者50〜200名へのウェルカムギフトなどです。
実務上のポイント:
- ロードショーで会う日本の取引先には、相手の役職を記した名簿を作り、贈り物を2〜3段階に分けます。予備を10〜20%用意しておきます。
- 工場見学や公的機関の訪問先には、訪問団名義の品をひとつ、団長から受け入れ責任者へ渡せば十分です。受け入れ側の規定は事前に確認します。
- 自社の参加者向けには、日本の工芸品が意味のあるウェルカムギフトになります。江戸切子、有田焼、今治タオル、和紙、塗り箸、訪問地の地酒など。いくつかは工芸を紹介する記事で取り上げています。イベント名の名入れは4〜8週間かかることが多いです。
- 物流:ウェルカムギフトは宅配便でホテルに直送し、客室に置くか夕食時に配ります。陶磁器や瓶ものは帰りの荷物の重さに配慮し、日本酒なら一升瓶より720mlの四合瓶が適しています。
- 品物より体験を:金継ぎ、ガラス彫刻、和菓子づくりなど、一人ひとりが自分の作品を作るワークショップは、買った品に代わる贈り物になり、チームの思い出にもなります。
SHINOGI DMCでは、セミナー、ロードショー、役員視察の際に、職人や百貨店からの選定、用途に合わせた包装とのし、ホテルへの配送、贈呈時のプロトコルの助言まで、企業の贈答をサポートしています。

よくあるご質問
商談で日本人に何を贈ればよいですか。
地元の質のよい品を、分けやすく、きれいに包装して。個包装の菓子、職人のチョコレート、役員にはワインなど。予算は1人3,000〜10,000円が目安です。
日本で避けるべき贈り物は何ですか。
4個・9個のセット、櫛、白黒の包装、白い菊、刃物、ハンカチ、高価すぎる品や個人的すぎる品です。
日本にソーセージやハムを手土産として持ち込めますか。
持ち込めません。肉製品は真空パックや免税店で購入したものでも、ほぼすべて動物検疫で認められず、罰則もあります。その他の生鮮品も出発前に最新の規則を確認してください。
日本にワインは何本まで持ち込めますか。
成人1人あたり約760mlの酒類3本まで免税です。それを超えると関税等がかかります。
贈り物はその場で開けるべきですか。
必須ではありません。後で開ける人も多く、「開けてもいいですか」と尋ねてもかまいません。後日お礼を伝えると丁寧です。
日本の公務員に贈り物をしてもよいですか。
慎重に。国家公務員倫理規程により、利害関係のある事業者からの贈与は金額にかかわらず禁止されています。事前に確認のうえ、記念品程度にとどめましょう。
Rédaction SHINOGI DMC · 更新日
出典
- Japan Customs — Duty-free allowances for arriving travellers
- Animal Quarantine Service (MAFF) — Bringing animal products into Japan
- Autorité nationale du personnel (Jinji-in) — Code d'éthique de la fonction publique, informations pour le public
- Takashimaya — Calendrier et usages de l'ochugen
- Mitsukoshi Isetan — Usages de l'ochugen (mistore)









