城崎温泉とはどんな場所か
城崎温泉は兵庫県北部、日本海まで2〜3kmの位置にある小さな温泉街です。柳並木の大谿川、石橋、約1kmのメインストリート、約80軒の旅館が谷あいにまとまっています。大型の温泉施設ではなく、浴衣と下駄で共同浴場を巡る外湯めぐりを楽しむ町です。
開湯は717年、道智上人が千日の祈願の末に湯を湧出させたと伝えられ、2020年に開湯1300年を迎えました。傷ついたコウノトリが足を癒やしたという伝説もあり、それが「鴻の湯」の名の由来です。外湯は地域で共同管理され、住民も日常的に利用しています。観光地というより「町の風呂」の雰囲気が残っているのはそのためです。
過ごし方はシンプルで、旅館で夕食をとり、用意された浴衣に着替えて、夜の外湯へ歩いて出かけます。端から端まで徒歩10分ほど。泉質はどこも同じナトリウム・カルシウム-塩化物泉で湯温は約42℃ですが、建物や規模、露天風呂の趣はそれぞれ異なります。
滞在時間の目安は、日帰りなら外湯2〜3か所と散策。ただし城崎の魅力が最も伝わるのは旅館での1泊です。夕食後に浴衣姿の人で通りがにぎわい、23時に外湯が閉まると静けさが戻ります。団体なら1泊、海岸や但馬牛の産地まで足を延ばすなら2泊が適当です。
城崎の外湯7湯:2026年に入れるのはどこか
「外湯7湯めぐり」が城崎の定番ですが、2026年は全湯をめぐることはできません。駅前の大型外湯さとの湯は休館中で、城崎文芸館と麦わら細工伝承館の機能を集約した新施設として建て替えが進み、2027年度のリニューアルオープンが予定されています(変更の可能性あり)。鴻の湯は改修工事のため5月11日〜10月30日(予定)休館。その間、まんだら湯は本来の定休日である水曜日も臨時営業します。
営業中の外湯(駅側から順に):
- 地蔵湯:7:00〜23:00、月曜定休。地元の利用が多い広めの浴場。
- 柳湯:15:00〜23:00、木曜定休。最も小さく、柳の下の木造の湯船。長居する場所ではありませんが趣があります。
- 一の湯:7:00〜23:00、水曜定休。楼門風の外観と岩をくり抜いた洞窟風呂。
- 御所の湯:7:00〜23:00、木曜定休。最も広く、裏山を借景にした露天風呂と滝。
- まんだら湯:15:00〜23:00、水曜定休(鴻の湯休館中を除く)。唐破風の建物と木の露天風呂。
- 鴻の湯(再開後):7:00〜23:00、火曜定休。庭園と山裾の露天風呂。
料金は1回大人800円、小人400円(3歳〜小学生)。外湯1日券「ゆめぱ」は大人1,500円(小人750円)で当日は全外湯に入り放題、各外湯の窓口で購入できます。2湯目で元が取れます。宿泊客には滞在中有効の外湯券を用意している旅館が多いので、チェックイン時に確認を。最終受付は営業終了の30分前です。
公式サイトで各外湯の混雑状況がリアルタイムで確認できます。混むのは17〜18時と、旅館の夕食後の20〜21時半。朝7〜9時は比較的空いています。

城崎の外湯での入浴マナーとタトゥー
基本はどの温泉とも同じです。湯船に入る前に洗い場で座って体をしっかり洗う、タオルや長い髪を湯に入れない、泳がない、撮影しない。男女別で、日によって男湯・女湯が入れ替わる外湯もあります。一般的なマナーは「温泉のルール」の記事で詳しく紹介していますので、ここでは城崎ならではの点をまとめます。
- タトゥー:外湯では大きさを問わず入浴可能で、シールで隠す必要もありません。国内では珍しく、海外からの団体には大きな安心材料です。ただし旅館の内湯は施設ごとの規定があるため、事前確認か貸切風呂の予約を。
- タオル:旅館が外湯用のかごとタオルを貸し出します。日帰り客は現地で購入するか持参を。ロッカーは外湯により無料またはコイン式です。
- 石けん・シャンプー:多くの外湯に備え付けがあります。
- 湯温42℃:1湯10分程度で十分です。お酒の入った夕食後に何湯も続けて入るのが湯あたりの最大の原因。合間に水分補給を。
- 子ども:歓迎されますが、おむつの取れていない乳幼児は湯船に入れません。
もう一つ忘れがちなのは、城崎が生活の場でもあること。夜の路地では声を控えめに、脱衣所や外湯の出入口で住民を撮影しないようにしましょう。
浴衣で散策:外湯の合間に見たい城崎の見どころ
浴衣・帯・冬は羽織、下駄はほとんどの旅館で用意されています。日帰り客はメインストリートの浴衣レンタル店で借りられます(料金は店舗により異なり、数千円程度)。下駄は音が響き、濡れた石畳では滑りやすいので、石橋の上はゆっくりと。鼻緒が当たって痛い場合は足袋を。
外湯の合間の楽しみ:
- 大谿川沿い:柳、石橋、灯りがつくる城崎らしい風景。夕暮れ時が特にきれいです。
- 城崎温泉ロープウェイ:大師山に上り、道智上人開創と伝わる温泉寺に立ち寄れます。晴れた日は谷と日本海まで見渡せます。なお大師山ハイキングコースは2025年末の土砂崩れで一部通行止めです。
- 射的やスマートボール:夜も営業するレトロな遊技場。
- お土産:伝統工芸の麦わら細工、和菓子、地酒、地ビールなど。
- 「ゆかたとかに王国」パスポート(300円、1年有効):観光センターで販売。協賛店で割引や記念品があります。
文人ゆかりの町を紹介する城崎文芸館は、隣接する手足湯とともに2026年9月14日から当面の間臨時休館中で、再開時期は未定です。
それでも文学の町の面影は街そのものに残っています。志賀直哉は1913年、東京で山手線にはねられた後の養生のため城崎を訪れ、三木屋に約3週間滞在しました。その体験から生まれたのが短編『城の崎にて』(1917年)です。生と死を見つめた短い作品で、今も高校の教科書に載っています。海外のゲストには、行きの列車で翻訳を読んでもらうのが一番の予習です。
10月中旬は城崎温泉の秋季例祭があり、メインストリートに交通規制がかかります。見応えはありますが、大型バスでの移動には注意が必要です。
松葉ガニと城崎の味:いつ訪れるか
冬の城崎のにぎわいを支えるのが松葉ガニ、日本海で獲れるズワイガニの雄のこの地方での呼び名です。漁期は11月6日〜3月20日。小ぶりの雌はセコガニと呼ばれ、漁期は実質12月末までと短く、内子・外子ごと味わいます。兵庫県はズワイガニの主要産地で、但馬の各漁港がそれぞれブランド化しています。城崎に近い津居山港の「津居山かに」は青いタグ、柴山港の「柴山がに」も港ごとのタグが付きます。
旬の旅館ではカニ尽くしのコースが定番です。カニ刺し、茹でガニ、焼きガニ、カニすき、締めの雑炊まで、2時間以上かけてゆっくり味わいます。料金は11月〜3月、特に週末に大きく上がり、同じ旅館でも夏の1.5〜2倍になることがあります。タグ付きのブランドガニはさらに高くなります。昼食ならメインストリートの食事処でカニ定食が楽しめます。
カニの季節以外にも見どころはあります:
- 春:大谿川の桜。料金も比較的穏やか。
- 夏:港の魚、近隣の山あいで育つ但馬牛(神戸ビーフの素牛)、祭りや花火。7月下旬には夏祭りがあります。
- 秋:10月中旬の秋季例祭、紅葉、そしてカニ解禁。
- 冬:1〜2月は雪景色の日もあり最も絵になる季節ですが、列車の遅れには注意。
予算に余裕のある初訪問なら、12月上旬(カニの旬で年末前の落ち着いた時期)か2月の平日がおすすめ。費用を抑えたい団体なら、5〜6月や9〜10月が同じ外湯を楽しめ、旅館も確保しやすい時期です。

城崎の旅館の選び方
城崎の宿泊施設は約80軒で、ほとんどが旅館です。多くは10〜30室ほどの小規模な宿で、何代も続く家族経営が中心。川沿いに建つ木造2〜3階建ての老舗には、建築で知られる宿もあります。郊外には宴会場を備え数十室を持つ大型旅館もあります。
予約前に確認したい点:
- 1泊2食付きが基本:多くの旅館で夕食は宿泊とセット。料金は1人1泊単位で、献立(通常、カニ、但馬牛)により変わります。
- 和室か洋室か:大半は畳に布団。腰の悪い参加者にはベッドの部屋を依頼しましょう。
- 客室の浴室:外湯に入る前提のため、老舗では客室にシャワーがないこともあります(トイレはあり)。
- 貸切風呂:家族連れ、内湯がタトゥー不可の場合、人前で入浴したくない方に便利です。
- 部屋食か食事処か:部屋食はゆったりしますが配膳に時間がかかります。団体なら個室の食事処が効率的です。
一般的な流れは、15時以降チェックイン、入浴、18時〜18時半ごろ夕食、浴衣で外湯へ、外出中に布団敷き、7時半〜8時に和朝食、10時チェックアウト。旅館の基本的なマナーや時間の目安は、旅館滞在の記事もご参照ください。
よくある落とし穴は荷物です。駅から旅館までは送迎もありますが、ほとんどが徒歩5〜15分圏内。石畳でスーツケースを引くより、到着時に旅館へ預けるか、前日に宅配便で送っておくのが賢明です。

大阪・京都・神戸から城崎温泉への行き方
城崎温泉駅はJR山陰本線の駅で、外湯の通りの入口まで徒歩5分です。直通特急は3系統:
- 大阪から:特急こうのとりで大阪駅・新大阪駅から約2時間40分。
- 京都から:特急きのさきで約2時間20分。
- 神戸から:特急はまかぜで三ノ宮から約2時間30分。
- 東京から:新幹線で京都へ、特急きのさきに乗り継いで計約4時間40分。
特急は1日数本(路線により約2時間おき)のため、座席は事前予約を。特に金曜日とカニのシーズンは満席になりがちです。JRパスやJR西日本の一部エリアパスで利用できます(パスにより要確認)。
その他の手段:
- 高速バス:大阪梅田から約3時間10分。神戸三宮、京都からも運行。列車が満席の際の代替に。
- 飛行機:伊丹空港からコウノトリ但馬空港まで約35分、バスで約40分。団体向きではありません。
- 貸切バス:高速道路経由で大阪から約2時間30分、京都から約3時間。荷物の多い団体には最も簡単ですが、駐車場所を確認し、最後は徒歩か旅館の送迎で。
組み合わせるなら、京都府北部の天橋立・伊根(車で約1時間30分)、西の但馬牛の牧場と博物館、南へ30分の城下町・出石(皿そばと辰鼓楼)など。大阪方面への帰路には、特急はまかぜで姫路城に立ち寄ることもできます。
団体で城崎温泉を訪れる:ここが違う
城崎は15〜40名程度の団体に向いた温泉地ですが、100名を同じ雰囲気の宿に収容できる旅館はないという前提を理解しておく必要があります。40名を超える場合は、近くの旅館2〜3軒に分宿して献立と時間をそろえるか、温泉街の外れの大型旅館を選ぶことになります(風情はやや薄れます)。
団体で好評なプラン:
- 宴会場での夕食:カニや但馬牛の会席に地酒。甲殻類アレルギー(意外に多い)やベジタリアン向けの代替メニューは予約時に伝えます。
- 外湯めぐりのサポート:出発前に10分のマナー説明、当日営業中の外湯を記した地図、集合時間の共有。人前での入浴に抵抗のある方は旅館の貸切風呂や散策で。
- 体験:麦わら細工やとんぼ玉づくりなど、10〜20名規模は事前予約で対応可能です。
- 周辺観光との組み合わせ:但馬牛の牧場と博物館、山陰海岸ジオパーク、出石の城下町。
注意点は、予約の遅れ(カニの季節の旅館は夏から埋まります)、主要な外湯の定休日に当たること、荷物の段取り、秋祭り期間中のメインストリートへのバス乗り入れなど。研修会場は大型旅館にしかないため、会議は大阪や京都で行い、城崎は夜の時間に充てるのが現実的です。
SHINOGI DMCでは、旅館の手配、定休日を踏まえた外湯めぐりの計画、指定席や貸切バスの手配、バイリンガルガイドの同行まで対応します。
よくあるご質問
城崎温泉の外湯の料金はいくらですか。
大人1回800円(小人400円)。外湯1日券「ゆめぱ」は1,500円(小人750円)で営業中の全外湯に入れます。宿泊客には多くの旅館が外湯券を用意しています。
2026年は城崎の外湯7湯すべてに入れますか。
いいえ。さとの湯は建て替えのため休館中で2027年度に再開予定、鴻の湯は改修工事で2026年10月30日まで休館予定です。残る5湯はそれぞれ週1日の定休日があります。
タトゥーがあっても城崎の外湯に入れますか。
はい。城崎の外湯は大きさを問わずタトゥーのある方も入浴でき、隠す必要もありません。旅館の内湯は施設ごとの規定があるため、予約前に確認してください。
城崎のカニのシーズンはいつですか。
松葉ガニ(ズワイガニの雄)の漁期は11月6日〜3月20日です。雌のセコガニは漁期が短く、実質12月末までです。
大阪から城崎温泉へ日帰りはできますか。
可能です。特急こうのとりで往復約5時間20分、外湯3か所と季節のカニの昼食、散策の時間は取れます。ただし城崎らしい夜の浴衣姿の風景を楽しむなら1泊がおすすめです。
城崎温泉で団体旅行は手配できますか。
可能です。1軒の旅館なら15〜40名程度が目安で、それ以上は近隣の旅館に分宿します。カニのシーズンは数か月前の予約が必要で、甲殻類を除いた献立や荷物の手配も考えておきましょう。
Rédaction SHINOGI DMC · 更新日
出典
- Kinosaki Onsen Tourism Association — Les bains publics (sotoyu) : horaires, jours de fermeture, tarifs, Yumepa
- Kinosaki Onsen Tourism Association — Fermeture prolongée de Kou-no-yu (mai-octobre 2026)
- Kinosaki Onsen Tourism Association — Fermeture temporaire du Kinosaki Bungeikan (septembre 2026)
- Kinosaki Onsen Tourism Association — Fermeture partielle du sentier du mont Daishi
- Kinosaki Onsen Tourism Association — Accès (trains, bus, avion, voiture)
- Kinosaki Onsen Tourism Association — Passeport « Yukata et royaume du crabe »
- Ville de Toyooka — Projet de reconstruction de Satono-yu (calendrier)
- Visit Kinosaki — Tattoo friendly onsen of Kinosaki
- MLIT (base multilingue) — Kinosaki Onsen: The Soto-Yu








