失敗1:準備期間を甘く見る
最も多く、そして最も代償の大きい失敗です。リスボンやバルセロナでのセミナーを4か月で準備することに慣れた欧州企業は、日本では進め方のペースが異なることに気づきます。
- ホテル:50名以上の団体であれば、客室と会議室は9〜12か月前の確保をおすすめします。桜の時期(3月下旬〜4月上旬)や秋は、京都の上級ホテルが早い段階で満室になります
- レストラン:評価の高い店の多くは20席未満で、予約受付の開始日も決まっています。貸切での会食は数か月前の確定が理想です
- ユニークベニュー:寺社、庭園、美術館、歴史的建造物などの利用には許可申請が必要で、承認まで数か月かかることもあります
早めの準備とは、すべてを固定することではありません。まず宿泊とプログラムの要となる場面を確保し、その後に細部を詰めていくのが良い進め方です。
失敗2:欧州の慣習をそのまま持ち込む
欧州では一般的でも、日本では通用しない、あるいは異なる形で運用される慣習がいくつかあります。
- 直前の変更:日本の手配先は、早期に確定した人数、席次、メニューをもとに細心の準備を行います。前日に人数を変更すると、すでに準備した分の費用が発生することが少なくありません。ホテルやレストランのキャンセル規定も一般に厳格です
- 1日パッケージ料金:日本の会議室は時間帯ごとの貸出が多く、音響映像機材や飲食は別料金です
- 時間の柔軟性:19時開始の会食は19時に始まります。レストランが営業時間の延長に応じないこともあり、寺社の拝観時間も決まっています
- チップ:日本には習慣がなく、渡すと相手を困らせることもあります。一方、上級ホテルでは10〜15%のサービス料が加算されることが多くあります
人数確定の期限とキャンセル規定を最初に明確にし、参加者にも共有しておくことが大切です。
もう一つの違いは確認の方法です。日本のホテルやレストランは、主催者名、正確な時間、食事制限、進行内容を明記した書面での確認を求めるのが一般的です。「19時頃に40名ほど」といった曖昧なメールは、予約ではなく問い合わせとして扱われます。当社では、すべての手配内容を日本語の書面にまとめ、手配先の確認を得ています。
また、「現地で調整すればよい」という考え方は日本ではうまく機能しません。質の高いサービスは、表には見えない綿密な準備に支えられています。事前の情報が具体的であるほど、当日の体験は自然でスムーズなものになります。
失敗3:行程を詰め込みすぎる
4日間で東京、京都、大阪、広島を巡る行程は、計画上は効率的に見えても、実際には参加者に大きな負担をかけます。日本の交通網は充実していますが、移動のたびに時間と体力を消耗します。
- 距離:東京〜京都は新幹線で約2時間15分です。さらに駅、ホテル、会場間の移動が加わります
- 荷物:JR東海によると、東海道・山陽・九州新幹線では3辺の合計が160cmを超える荷物に特大荷物スペースつき座席の予約が必要です。団体の場合は、出発前日にスーツケースを宅配便で別送します
- 時差:欧州からの到着初日は、歓迎行事と夕食会程度にとどめ、朝8時からの全体会議は避けます
- バスの停車:銀座などのエリアでは、観光バスが停車できる場所が限られています
当社の目安は、4〜5日間のプログラムなら2都市、1週間の旅程でも最大3都市です。多くを駆け足で回るより、深く体験していただく方が満足度は高まります。

失敗4:言語とビジネス慣習を軽視する
セミナーに日本の顧客、パートナー、現地法人との面談が含まれる場合、内容と同じくらいビジネス慣習が重要になります。
- 時間厳守は敬意の表れです。10分前の到着が基本です
- 名刺は両手で受け渡し、しっかり目を通してから、すぐにはしまわないのがマナーです。経営陣には日英併記の名刺をご用意いただくことをおすすめします
- 序列は、発言の順番、会食の席次、車両の座席配置にまで影響します
- 意思決定は事前の根回しを経て行われることが多く、会議の場での即決を期待すると誤解を招くことがあります
- 言語:手配先や飲食店の英語対応には差があります。商談にはプロの通訳が不可欠で、多言語の案内表示も参加者の助けになります
当社では、参加者向けに1ページの異文化ブリーフィング資料を必ず作成しています。多くの行き違いを防ぎ、初来日の方にも安心していただけます。
見落とされがちな最後のポイントが手土産です。日本のパートナーとの面談では、自社や出身地域を象徴する品を丁寧に包装してお渡しすると喜ばれます。品物の選び方、包装、渡すタイミングのいずれもが大切で、当社ではこうした細部についても助言しています。
失敗5:季節・天候・不測の事態への備えを怠る
日本のカレンダーには特有の制約があり、日程を決める段階から考慮する必要があります。
- 需要のピーク:桜の時期、ゴールデンウィーク(4月下旬〜5月上旬)、8月中旬のお盆、年末年始。料金が上がり、空室が減り、観光地も混雑します
- 天候:多くの地域で6月から7月中旬が梅雨(沖縄はより早い時期)、7〜8月は猛暑、台風は主に8〜9月です。屋外プログラムには必ず屋内の代替案を用意します
- 自然災害:日本のホテルは厳格な地震対策を講じています。当社では参加者に基本的な注意事項と24時間対応の緊急連絡先をお渡しします
- 入国手続き:欧州の多くの国の方は短期滞在であればビザなしで入国できますが、それ以外の国籍の参加者については早めに個別の確認が必要です
お客様と共有するシンプルな事業継続計画を、すべてのプログラムに組み込んでいます。

失敗6:現地パートナーなしで進める
欧州からホテルと直接やり取りして、自社でイベントを手配しようとする企業もあります。国際的なホテルで少人数の会議を行う程度であれば可能ですが、複数都市の移動、人気レストラン、ユニークベニュー、文化体験などが加わると、すぐに限界が見えてきます。日本語でのやり取り、既存の取引先としか仕事をしない手配先、時差による意思決定の遅れなどです。
日本のMICE専門会社(DMC)は、次の価値を提供します。
- 長年の信頼関係に基づく、レストラン、会場、各種手配先への直接のアクセス
- 日本語で交渉し、契約内容を確認し、細部まで点検するバイリンガルチーム
- 開催中の現地対応による、不測の事態へのリアルタイムの対処
- 日本政府観光局(JNTO)の日本コンベンションビューローや、東京・福岡のコンベンションビューローなど、支援制度を持つ機関との連携
SHINOGI DMCは2005年以来、東京、京都、大阪、福岡、沖縄で30名から500名規模のプログラムを、日・英・仏の3か国語対応チームで手がけてきました。
最初の打ち合わせで、パートナーの力量はおおよそ判断できます。質問の的確さは、その後の運営の質をよく表しています。
よくあるご質問
日本でのMICEイベントはどのくらい前から準備すべきですか。
50名以上の団体であれば、ホテルと会議室の確保に9〜12か月、桜や紅葉の時期はそれ以上を見込んでください。繁忙期以外の20〜30名規模の会議であれば、空室状況次第で4〜6か月前からでも対応可能です。
直接予約ではなく日本のMICE専門会社に依頼する利点は何ですか。
現地の専門会社は日本語で交渉し、既存の取引先とのみ仕事をするレストランや会場にもアクセスでき、現地で不測の事態に対応します。複数都市や文化体験を含むプログラムでは、運営上のリスクを大きく減らせます。
欧州からの参加者は日本でのセミナーにビザが必要ですか。
欧州の多くの国の方は、短期滞在であればビザなしで日本に入国できます。ただし国籍によって条件が異なるため、出発の数か月前に各参加者の状況を在外日本大使館などで確認されることをおすすめします。
1週間のプログラムでは何都市を訪れるのが適切ですか。
4〜5日間のプログラムであれば2都市、1週間でも東京・京都・大阪のように最大3都市をおすすめしています。それ以上になると移動が中心となり、参加者の疲労が体験の質を下げてしまいます。
開催中に台風が接近した場合はどうなりますか。
台風は気象庁により数日前から予報されます。夏から初秋のプログラムでは必ず屋内の代替案を用意し、予報を確認しながら、送迎やアクティビティをお客様とリアルタイムで調整します。
Rédaction SHINOGI DMC · 更新日








