日本で通訳を頼むといくらかかる?
2026年の目安は、通訳ガイドが1日約40,000〜80,000円、会議・商談の逐次通訳が1日50,000〜120,000円、同時通訳が通訳者1人1日100,000〜200,000円です。同時通訳はブースに最低2名が必要です。いずれも目安で(消費税10%・交通費別)、日本には公定料金がなく、各社が独自に料金を設定・提示しています。
料金はほぼ必ず半日または1日単位で、時間単位ではありません。半日は3〜4時間程度、1日は7〜8時間程度の拘束が一般的です。基準は話している時間ではなく拘束時間で、東京から90分の工場で2時間の見学なら1日扱いになります。
海外企業からの依頼で多いのは次の3つです。
- 訪問団と取引先の面談:逐次通訳1名を1日単位で、2〜3日間。
- 文化体験を含むセミナーやインセンティブ:通訳ガイドを15〜25名のグループごとに1名。
- カンファレンス、コンベンション、発表会:ブースに入る会議通訳者のチーム、機材、技術者。
以下で、それぞれの形態、料金の目安、変動要因、手配方法を解説します。セミナー全体の予算については、セミナー予算の記事でほかの費目も紹介しています。
逐次、同時、ウィスパリング、通訳ガイドの違い
通訳の形態によって、料金、機材、一日の進行が変わります。
- 逐次通訳:話し手が数文ずつ区切って話し、通訳者がその後に訳します。会議、商談、インタビュー、技術視察、会食向き。機材が不要で、相手との距離が近いのが利点ですが、発言時間は約2倍になります。英語で1時間の予定の会議は、逐次通訳では2時間近くかかります。
- 同時通訳:防音ブースからリアルタイムで訳し、聴衆はレシーバーで聞きます。カンファレンス、コンベンション、総会向き。ブースごと・言語の組み合わせごとに最低2名の通訳者と、機材、技術者が必要です。
- ウィスパリング通訳:通訳者が1〜2名の隣に座り、小声で同時に訳します。日本語で行われる会議に役員が出席する場合などに便利です。聞き手が3名以上なら、ブースを使わないワイヤレスガイドシステム(パナガイドなど)に切り替えます。
- 通訳ガイド:団体に同行して見どころを解説し、手配先との橋渡しも担います。会議通訳とは別の専門職で、優れたガイドが技術的な商談に強いとは限らず、その逆もしかりです。
日本では、全国通訳案内士は国家試験に合格して登録した人に与えられる資格です。2018年1月4日の改正法施行により、有償の通訳案内は資格がなくても行えるようになり、資格は名称独占となりました。全国通訳案内士は語学、歴史、地理、一般常識、通訳案内の実務を含む難関試験の合格者ですが、無資格のガイドも合法的に業務を行えます。
工場見学では、製造業の経験がある通訳者に、機械音の中でも全員が聞き取れるガイドシステムを組み合わせるのが理想的です。
2026年の通訳料金の目安と変動要因
以下は通訳者1名あたりの目安で、消費税(10%)と諸経費は別です。2026年時点で日本の通訳会社が公開している料金表や市場の実勢を反映しています。
- 通訳ガイド(観光、同行):1日40,000〜80,000円。
- 逐次通訳(商談・会議)半日:約25,000〜60,000円。
- 逐次通訳(商談・会議)1日:約50,000〜120,000円。
- 会議通訳(同時通訳)1日:通訳者1名あたり約100,000〜200,000円。ブースには最低2名が必要です。
- 同時通訳機材(ブース、通訳卓、送信機、受信機、技術者):言語数と受信機の台数により、1日数十万円規模。見学用のワイヤレスガイドシステムならはるかに安価です。
料金を左右する要因:
- 言語の組み合わせ:英日が最も多く、競争もあります。仏日や独日などは担い手が限られ、特に会議通訳では早めの予約が必要で、料金が高めになるか、英語を介したリレー通訳になることがあります。
- 専門分野:医療、製薬、法律、金融、エンジニアリングなどは専門性と準備に費用がかかります。
- 経験:通訳者をランク分けする会社が多く、新人とベテランの差は2倍を超えることもあります。
- 実際の拘束時間:基本料金を超えると、30分または1時間単位で延長料金がかかります。会議後の会食も業務時間に含まれます。
- 出張:通訳者の拠点外では、交通費、移動時間(一部請求が一般的)、宿泊費、日当が加わります。
- 録音・配信:録音、オンライン配信、二次利用がある場合は、別途二次使用料がかかることが多いです。
- キャンセル:数日前のキャンセルは100%請求されることもあります。契約前に条件を確認しましょう。
会議、工場見学、カンファレンス:場面別の選び方
代表的なケースと、おすすめの体制です。
- 4〜6名の商談:逐次通訳1名。議事時間は30〜50%多めに見積もります。終日の会議なら、午後から交代できるよう2名体制が理想です。
- 重要な交渉・契約協議:その業界に詳しい経験豊富な通訳者に事前説明を行い、日本企業側に通訳がいても、自社側の通訳を立てるのが理想です。それぞれが自陣のために訳します。
- 20〜40名の工場見学:逐次通訳とワイヤレスガイドシステム(マイクとイヤホン付き受信機)。これがないと、ラインの端にいる人には何も聞こえません。撮影禁止や人数制限のある工場も多く、通訳者は安全上の注意事項の徹底も担います。
- 日本人講師を招く社内セミナー:日本語を話さない参加者が少人数ならウィスパリングかガイドシステム、受信機が30台程度を超えるならブースでの同時通訳。
- カンファレンス、コンベンション:ブースでの同時通訳。訳出言語ごとに1ブース。日本の大規模コンベンション施設には、大ホールに常設ブースを備えたところもあり、それ以外では仮設ブースを設置します。
- ハイブリッド・オンライン:専用プラットフォームでの遠隔同時通訳(RSI)なら移動は不要ですが、安定した回線と事前の技術テストが欠かせません。
- インセンティブの文化プログラム:15〜25名ごとに通訳ガイド1名。僧侶による寺院案内や茶道体験では、亭主の説明を訳すため、専門的な語彙が求められます。
よくある失敗は、インセンティブの通訳ガイドに翌日の商談通訳も頼むことです。両者は別の専門職で、予算が限られるなら、見学にも同行できる優れた商談通訳者を選ぶほうが、その逆より確実です。

日本での同時通訳:ブース、体制、機材
同時通訳は最も費用がかかり、準備不足が最も響く項目です。
体制:国際会議通訳者協会(AIIC)の職業基準では、1ブース・1言語につき最低2名の通訳者を置き、一定間隔(多くは20〜30分)で交代します。マイクを外している通訳者は発言を追い、数字や固有名詞をメモして相方を支えます。終日を1名で担当させるのは、2時間目から品質で代償を払う節約です。
機材:一式には次のものが含まれます。
- ISO規格に沿った常設または仮設の防音ブース(話し手とスクリーンが直接見える位置)
- 通訳者用の通訳卓と登壇者用マイク
- 送信機(多くは赤外線)と聴衆1人1台の受信機・ヘッドホン(名札や身分証と引き換えに貸し出し・回収)
- 終日常駐の技術者
日本ならではの注意点:
- 早めの予約:経験豊富な会議通訳者は限られ、英語以外の言語では特に少数です。コンベンションなら最低3か月前、春・秋の繁忙期は6か月前が目安です。
- 資料の事前送付:スライド、原稿、プログラム、登壇者の日本語の肩書き、用語集を1週間前までに。当日初めてスライドを見るのでは、数字を正確に訳せません。
- 日本人名の読み:人名や社名は漢字表記で読み方が複数ある場合もあるため、正しい読みを付けたリストを渡しましょう。
- 録音・配信の有無は見積もりの段階で明確に。
外国語1言語で200名規模の会場なら、通訳関連の予算(通訳者2名、ブース、受信機、技術者)は1日数十万円規模になるのが普通です。最初の予算段階から組み込んでおく価値があります。
通訳者と上手に仕事をするための準備と注意点
通訳者が力を発揮できるかどうかは、依頼する側の準備にかかっています。海外のクライアントに伝えたいポイント:
- 事前説明:会議の目的、出席者の顔ぶれ、デリケートな議題、目指す成果。前日に20分の電話で十分なことが多いです。
- 資料:会社案内、製品資料、社内用語や略語の用語集。機密資料なら秘密保持契約を結ぶのが一般的で、通訳会社も慣れています。
- 通訳しやすい話し方:短い文で、一度にひとつの内容を、逐次通訳では区切りながら。言葉遊びの冗談、ローカルな文化ネタ、皮肉は訳しにくく、伝わらないことが多いです。
- 数字:日本語は1万単位で数えるため、「1.5ミリオン」は「150万」。重要な金額はホワイトボードやスライドに書くと、桁の取り違えを防げます。
- 相手を見て話す:通訳者ではなく、話している相手に向かって話します。
- 休憩:逐次通訳では1時間半ごとに10分程度の休憩を。昼食はきちんと取れる時間を確保します。
- 会食:通訳者が同席する場合、それは業務です。食べる時間より訳す時間のほうが長くなります。主要な出席者の間に席を設け、食事を用意し、拘束時間に含めましょう。
- どちらかの味方を求めない:通訳者は発言をそのまま訳します。日本側への伝え方について助言がほしい場合は、会議の前後に別途相談します。
名刺交換、席次、合意形成など日本の会議の作法は、日本でのイベント運営で避けたい失敗をまとめた記事で紹介しています。

日本で通訳者を探して手配する方法(団体の場合も)
手配の方法は主に3つです。
- 通訳会社:ランクや専門分野別に通訳者を紹介し、同時通訳機材も含めて一括で請け負います。カンファレンスでは最も確実です。
- フリーランスの通訳者:紹介や業界団体を通じて探すことが多く、数日間の商談通訳なら柔軟に対応できます。実績の確認は入念に。
- 全国通訳案内士:都道府県に登録されており、日本政府観光局(JNTO)や観光庁の情報から探せます。文化体験の同行には適していますが、商談向きとは限りません。
予約の目安は、英日の商談通訳で2〜4週間前、英語以外の言語の組み合わせや専門性の高い分野で1〜3か月前、会議通訳チームで3〜6か月前です。契約前に、半日・1日の時間、延長料金、交通費、キャンセル規定、録音の扱い、守秘義務を書面で確認しましょう。
企業の団体では、通訳はプログラム全体と合わせて計画します。工場見学2件、カンファレンス、取引先との会食をこなす30名の訪問団なら、日ごとに必要な体制が異なります。工場には商談通訳とガイドシステム、カンファレンスにはブース、会食にはテーブル通訳。複数日を同じ通訳者に任せれば、用語が統一され、事前説明の手間も減ります。
フランス語・英語・日本語で対応するSHINOGI DMCでは、セミナー、コンベンション、視察旅行において、業界に合った通訳者の選定、事前説明と用語集、同時通訳やガイドシステムの機材、当日の進行管理までを手配しています。
よくあるご質問
通訳の1日の料金はいくらですか。
2026年の目安は、通訳ガイド40,000〜80,000円、逐次通訳50,000〜120,000円、同時通訳は1名100,000〜200,000円(税・経費別)です。
同時通訳には通訳者が2名必要ですか。
はい。AIICの基準では1ブース・1言語につき最低2名で、通常20〜30分ごとに交代します。
逐次通訳と同時通訳の違いは何ですか。
逐次通訳は発言の区切りごとに訳し、機材は不要ですが時間が約2倍になります。同時通訳はブースからリアルタイムで訳し、聴衆はレシーバーで聞きます。
日本でガイドをするには資格が必要ですか。
いいえ。2018年1月4日以降、有償の通訳案内は資格がなくても行えます。「全国通訳案内士」の名称は国家試験合格者のみが使えます。
通訳はどのくらい前に予約すべきですか。
英日の商談通訳は2〜4週間前、その他の言語や専門分野は1〜3か月前、会議通訳チームは3〜6か月前が目安です。
通訳者の交通費は料金に含まれますか。
含まれないことが多いです。拠点外では交通費、移動時間(一部請求が一般的)、宿泊費、日当が加わり、基本時間を超えると延長料金がかかります。
Rédaction SHINOGI DMC · 更新日
出典
- Agence du tourisme du Japon (MLIT) — Système des guides-interprètes agréés nationaux
- JNTO — Examen de guide-interprète agréé national
- AIIC — Normes professionnelles (composition des équipes en cabine)
- imitsu — Tarifs de l'interprétation au Japon (repères de marché)
- Préfecture d'Osaka — Enregistrement des guides-interprètes agréés








